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猿の仕事 [on the web]

柴田元幸編集長のウェブ版でしか読めない編集後記、雑記 etc…
本誌とはまた違った編集長の一面が垣間見られるはず?

2011.11.10

 『モンキービジネス』休刊を公表して以来、たくさんの皆さんから、励ましとねぎらいのメッセージをいただきました。ありがとうございます。最終号の、『トム・ソーヤー』全訳という無謀な試みにも、(これをやったことで仕事がますます遅れた他社編集者の皆さん以外には)おおむね好評のようで、ホッとしています。最終号には、レギュラー陣以外にも、浅尾大輔さんの小説もすごいし、木村拓治さん、門馬太喜さんという二人の異色新人も登場しています。よかったら、ご覧になってください。

 今月は、休刊にかこつけて、2つイベントをやります:
1 11月15日(火)19:00〜20:30 青山ブックセンター本店。こっちは、柴田一人で喋ります。
2 11月29日(火)19:00〜 紀伊國屋サザンシアター。こっちは、小澤實、小野正嗣、川上弘美、岸本佐知子、古川日出男、とモンキービジネス常連の皆さんが一緒に出てくれます。
 よかったら、いらしてください。情報は以下に↓
http://www.aoyamabc.co.jp/event/monkey-business-vol15/
http://www.kinokuniya.co.jp/label/20111018110000.html

 ところで、11月最初の週末は、大阪・京都で朗読をやってきました。4日(金)は大阪市福島区にある素敵な空間フォトギャラリー・サイでしみじみと読み、5日(土)は京都造形芸術大で一週間にわたってくり広げられた"Storyville"なるとてつもない文学イベントに参加して賑やかに読みました。

 イベント自体も楽しかったですが、なんとあのデニス・ジョンソン(『煙の樹』『ジーザス・サン』)と一緒にカラオケをやるという得難い体験もオマケに。

 朗読も終わり、京都の某動物園構内でつらつら今後のことを考えていたら、突然、目の前にいた象が僕の方にぐぐっと寄ってきてブオーッと鳴き、長い鼻をこっちに向けて振りました。あれは「これからは猿のことを考えるな、象のことを考えろ」というメッセージだったのだろうか。

 「猿の仕事 on the Web」、今回でおしまいです。長いあいだ、おつきあいくださってありがとうございました。ひとまず、さようなら。

2011.09.20

 えー、突然ですが、10月刊の『モンキービジネス』第15号は、「最終号」という名前です。残念ながらこれは比喩ではなく、本当に最終の号です。毎号楽しみに待っていてくださった読者の皆さんには、申し訳ない気持ちで一杯です。どうぞお許しください、とお詫びするとともに、いままで応援してくださったことに、心からお礼を申し上げます。読者の皆さんからのポジティブな反応には本当に勇気づけられたし、逆にネガティブな反応には本気でめげましたが(笑)、全体としては「ポ」の方が「ネ」よりずっと多かったので、この雑誌やってよかった、と思っています。
 ......なんて書くとほんとに終わり、もうナシ、That's it! という感じですけど、近い将来、また猿がひょこっとどこかに顔を出したりするかもしれません。そのときはまた、ぜひ一緒に遊んでやってください。あ、その前に、「最終号」もぜひぜひ手にとってみてください。今号の目玉は、っていつも全部が目玉なんですけど、量的な目玉はマーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』柴田全訳です。
 それと、今年の春に第一号が出た英語版『モンキービジネス』は、ふたたび日本財団の援助を得て、2012年春に第二号を刊行予定です。日本版がないあいだは、ひとまずこちらを見ていただいくとか......と、悲壮感漂うべき休刊挨拶がちゃっかり宣伝になってしまってすみません。もちろん、日本版もバックナンバーは(Vol. 3『サリンジャー号』を除いて)残っていますし、連載から生まれた『モンキーブックス』も揃っています。覗いてみていただければ、とても嬉しいです。
 ではでは、いままでのご愛顧、ほんとうにありがとうございました――

saru_sign.jpg

 

 

 

2011.08.22

 ちょっと必要があって、図書館へ行って、校正の指南書・ガイド本をいろいろ見てみた。そのなかで、一番内容的にしっかりしていそうな本をぱらぱらめくっていたら、うしろに正誤表がはさみこんであって、これが相当の長さで、この本がメチャクチャ誤植だらけであることが判明した。まあべつに、いいのかな......。

2011.07.20

池内紀『ことばの哲学 関口存男のこと』(青土社)読む。非常に面白かった。他人の人生について、自分もこういう生き方ができたら、などと思うことはめったにないが、この本を読んでそう思った/管啓次郎・野崎歓編『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)刊行記念プレイベントの朗読会に参加。本当にろうそくの灯りを頼りに各人が朗読する。みんなけっこう歳なので、眼鏡を外して読む者多し。最後に出た僕は、眼鏡を外してもまだ見えない/これからはだんだんこういうふうに、「自分が一番年寄り」という状況が増えてくるのだろう。だからもう「自分もこういう生き方ができたら」じゃなくて「できていたら」なんですね。あ、イベント自体はとてもよかったです/研究室の合宿で千葉の茂原に行く。飲み会の部屋のドアを開けたら、バースデイケーキが。こういうときに気の利いたお礼のひとつも言えないといけないんだけど/57歳って、自分が20歳のころは、もう人生とっくに終わりだろ、くらいにしか思ってなかったけど、ケーキにはしっかりYounger Than Yesterdayと書いてくれていました。

2011.06.20

いろんな事情が重なって、2か月お休みしてしまいました。すみません。

 
1 前々回(2011.2.21)に取り上げたショーン・タンの『アライバル』、その後河出書房新社から「翻訳」が出て、日本でも入手しやすくなりました。秋には著者来日の予定もあるとか。
 
2 前回(2011.3.22)でエミリー・ディキンソンを訳してみて、やっぱりディキンソンは(僕に理解できる限りで、ですが)いいなあと思い、その後もいくつか訳してみました。
 訳した7篇のうち、4篇は次号7月刊の『モンキービジネス』に載せ、1篇は8月刊行予定の管啓次郎・野崎歓編『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)に載ります。「落選」した2本をここに載せます。「落選」したのは、詩として落ちるからではなく、単純に、訳者に内容を「説明」する自信が(より)ないから。
 
How the Waters closed above Him
We shall never know -
How He stretched His anguish to us
That - is covered too -
 
Spreads the Pond Her Base of Lilies
Bold above the Boy
Whose unclaimed Hat and Jacket
Sum the History -

 

水がかれの上でどう閉じたか
私たちにはけっしてわからない ―
かれが私たちにむけてどう苦悩をつきだしたか
それも ― おおわれた ―
 
睡蓮の基地を池は広げる
堂々と 少年の上に
誰もひきとらぬ帽子と上着が
歴史を要約している ―
(1865)
 
You cannot put a Fire out -
A Thing that can ignite
Can go, itself, without a Fan -
Opon the slowest Night -
 
You cannot fold a Flood -
And put it in a Drawer -
Because the Winds would find it out -
And tell your Cedar Floor -
 
火事を消せはしない ―
点火しうるものは 扇がなくとも
ひとりでに火がつきうる ―
どんなにゆっくりした夜にも ―
 
洪水を畳めはしない ―
畳んで引き出しに入れられはしない ―
風が見つけ出して
スギの床に教えてしまうだろうから ―
(1863)
 
3 7月刊の『モンキービジネス』vol. 14は、「いま必要なもの号」という題になりました。いろんな方々に「『いまの日本にこういうものがあったらいいのに』と思える『もの』をひとつ挙げて、それについてコメントしてください」とお願いしたアンケート、ニューヨークで行なった古川日出男×スティーヴ・エリクソン対談、『モンビズ』出身作家Comes in a Box、神慶太、早助よう子の新作、まだ名前はナイショですが音楽と生活をめぐる某ミュージシャンeメールインタビュー、などなどです。もう原稿はほぼ出そろいましたが、今回はいつにも増して、ここまで漕ぎつけるのが長かった気がします。でもその甲斐あって、連載陣も今回はいつにも増して気合いが入っている気がする......。

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monkey business illustration(C)2008 grAphic tAkorA
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