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| 第30回(最終回):現状 | 2010/12/2 |
私たちの大多数にとって、幽霊はただ単にそこにいる。私たちは彼らのことをつねに考えてはいないし、時にはすっかり忘れてしまいもするが、彼らに遭遇するとき、何かとても重要な出来事が起きたことを私たちは感じる。だがやがてそれも過ぎて、私たちはまた忘れっぽさのなかに漂い戻っていく。かつて誰かが、私たちの幽霊たちは死をめぐる思いに似ていると述べた。彼らはつねにそこにいるが、時おりしか姿を現わさないからだ。自分たちの幽霊について私たちがどう感じているのか、正確に把握することは難しいが、これだけは言ってよいと思う。すなわち、彼らを目にして、恐怖、怒り、好奇心といったおなじみの感情に捉えられる前、私たちはつかのま、未知の感覚に襲われるのだ──見たこともない、にもかかわらず見覚えのある気がする部屋に突如迷い込んだかのように。やがて世界は元の場に収まって、私たちは先へ進んでいく。
私たちには幽霊がいるけれど、私たちの町はあなた方の町と変わらない。家の前面には陽があたるし、私たちは夜中に不安な心で目を覚ますし、自動車は玄関前からバックで道路に出て方向転換する。幽霊たちのせいで、ひとつの問いが私たちの町を貫いていることは確かだが、答えが出ていない問いを抱えて生きているのは私たちだけではあるまい。私たちの大半は、自分たちは他人と少しも変わらないと言うことだろう。あなた方も時おり私たちのことを考えてみれば、私たちが本当に、あなた方と変わらないことがわかるはずだ。
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