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しくじりの神様

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スペシャルWeb対談「テッパン男塾」檀れみ×「女のしくじり」ゴマブッ子

テッパン男塾/檀れみ

最終話――2010年9月30日

※第1話をお読みになっていない方はこちらよりお読みください。


あたしの名前は詩久慈(しくじ)リコ。
三十路になって2週間が過ぎ
なんだか心が安らかになった9月末。

負け惜しみでも強がりでも何でもない。

あれほど怯えていた30代に突入して早2週間。
正直なところ、あたしの中から妙な焦りが消えていた。

数年前に30歳で寿退社したお局様が残した、
「女は30までに結婚しないと、お先真っ暗よ」
という捨て台詞のせいで、あたしは焦っていたのかもしれない。

でも30歳になった今、何も変わらなかったし
あたしはあたしなんだと、少し吹っ切れた感がある。

それは新しい出会いがあったからかもしれない。

正直に言えば、誕生日を迎えた朝は憂鬱だった。

20代と30代ではきっと印象が違うに決まっている。
30代で独身と言えば、男たちはドン引きをしてみんな20代の若い女に走る、
そう思ってさえいた。

だから誕生日を迎えた朝はとても憂鬱だった。

その夜、独身仲間の女友達があたしのためにわざわざ誕生日パーティーを開いてくれた。
女友達に祝ってもらう30歳の誕生日パーティー。
本当に心の底から絶望しかけて泣けてきた。

ところがである。

事前に「プレゼントは何がいい?」と聞かれていたあたしは、

「男が欲しい」

と答えたのだが、友人は本当に男を連れてきたのだ。

彼は35歳、バツイチ、子なし。
平凡なルックスで平凡な男だった。
しいて言えば、仕事熱心で少々熱いところが印象的だった。

その後、メアドを交換して今日に至るまでの2週間、
何回かメールのやりとりをした。

焦っているカンジはない。
前のめっているカンジもない。

お互い、脅迫じみたメールのやり取りはしていないと思う。

仕事が終わったときに何気ないメッセージが届いたり、
あたしも何となく気が向いたときにメールを送っていた。

彼のことが好きかと言えば、まだ1回しか会ったことがないわけだしよくわからない。
よくわからないけどもう少し知りたいと思う。
そして、そう思っている自分が何故か嬉しくもあり恥ずかしくもあるようなそんな感覚で、
もしかしたらそれが好きという気持ちになるのかもしれない。

もっとも、今までのあたしだったら

「彼と付き合いたい」

とすぐにでも思っていたのかもしれない。
けれど、今はとても冷静な自分がいて、とても穏やかなのである。

彼と付き合うとか結婚するかもとか、そういうことは一切抜きにして、
何だかとても話が合いそうで気が合いそうな予感がしているのである。

彼には彼の生活や価値観や気持ちがあると思うし
あたしにはあたしの生活や価値観や気持ちがあることを踏まえて
今すぐどうこうしようという思いは一切ない。

あたしは今まで、愛されることに必死だった気がする。
愛されることこそが幸せで
求められることこそが幸せで
そうされたいばかりに見返りを求めて
人を好きになっていたような気がする。

あたしの幸せって何なんだろう。
正直、よくわからなくなってしまったカンジもある。

でも、今、はっきりとわかるのは
「誰かに幸せにしてもらうことではない」ということ。

そんな気持ちで、今、心が台風の後の清々しい秋空のように、
とても晴れやかなのかもしれない。

今夜、その彼と初めて2人きりで会うことになっている。
何だかとても楽しみで仕方がない。

あれっ? やっぱりあたし、少し前のめっているのかな。

誰かが決めた幸せの定義に自分を当てはめて
勝手に不安になって焦ったりして
自分を不幸に思っていることは
とても残念で悲しいしくじりだとあたしは気づいた。

あたしの幸せはあたしにしかわからないし
あたしの幸せはあたしで切り開くしかないんだもの。

仕事も楽しいしちょっと新しい恋の予感を楽しんでいる自分も好きだし、
恐がることなんて何もない。

そんな風に思っている、なんだか心が安らかになった9月末。
待ち合わせの場所まで軽い足取りで向かっている。

どうかしくじりませんように。

見上げた夜空に向かってあたしはそう呟いた。

気のせいかもしれないけど

(大丈夫)

誰かがそう言って背中を押してくれたような気がした。

 

THE END


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